2019年3月25日月曜日

広島県から(近況報告)  

  2009年から2018年9月までの押収鳥類の鑑定作業は32回を数え、警察の捜索にも数多く立会しました。

 メジロの愛玩飼養禁止以後、警察による摘発件数は激減しましたが、密猟や違法飼養は、より潜在化、巧妙化している実態が伺えます。押収鳥類は14種、213羽(メジロ170羽、ウグイス7羽、ホオジロ11羽、ヤマガラ10羽、エナガ1羽、シジュウカラ1羽、オオルリ2羽、キビタキ1羽、コマドリ3羽、クロジ1羽、ジョウビタキ1羽、ハシブトガラス1羽、ハヤブサ1羽、ソウシチョウ3羽)に及びます。

  発覚の端緒を見ると、地域警察官が巡回連絡で発見10件、地域警察官がパトロール中に発見7件、警察官が盗難事件で臨場した時に発見2件、警察官が火災現場に臨場した時に発見1件、メジロの餌等を万引きして逮捕された被疑者の供述1件、警察官が別事件の捜査中に現認4件と、警察官によるものが25件と最も多く、そのほか、鳥獣保護員の現認通報1件、一般人からの通報6件となってす。一般からの通報内容で興味深いものとしては、メジロ違法飼養で検挙された新聞記事を読んだ被疑者の元娘婿から通報1件、違法飼養
で検挙された経歴のある者からの通報2件があります。

 本年9月5日、福山市の民家で6年間も違法にハヤブサが飼養されていました。警察官が被疑者宅の盗難被害で現場に臨場した時、密室のような一階奥6畳間の片隅に、ネットで仕切られた極狭の鳥小屋の中で飼養されていたハヤブサを発見し、強制捜査に踏み切ったものですが、捜索に立会し、その劣悪な飼育環境に言葉を失いました。被疑者は6年前、自宅近くの田圃で弱っていたので保護し、以後、鶏肉を与えながら飼養していたと供述していますが、警察官が発見していなかったらと思うとぞっとします。押収保護されたハヤブサのリハビリについても、予定していた保護施設に受入を拒否される等、苦労しました。

 強制捜査の現場にも数多く立会していますが、9月5日、ハヤブサの違法飼養事件で福山市内の民家で行われた家宅捜索に立会した時、部屋の片隅に、換羽で抜けたハヤブサの風切羽等が丁寧に保管されているのを発見しました。捜査員に、これらの羽根は、長期間飼養していたことを裏付ける貴重な裏付け証拠ですよとアドバイスしたり、過去の経験から、こうした被疑者は成長過程などを写真撮影していることがあるので、アルバム帳は必ず確認して欲しいとアドバイスしました。予感は的中、被疑者のアルバムには"日付付きのハヤブサの写真"や、過去、違法飼養していたハヤブサ若鳥の写真等が発見され、押収されました。押収鳥類の撮影についても、撮影担当の捜査員に対し、日本産メジロのここをしっかりアップで撮影してほしい等とアドバイスしています。これからも後輩の仕事を応援していきたいと思っています。 (広島県鳥獣保護管理員)

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